しばてん土佐の民話(みんわ)に「しばてん」が登場する。 他のところでいう「河童」のことですらあ。 しばてんは相撲が好きじゃったそうな。まあ話し聞いてみいや・・・ しばてん おらんくのじいさんが,わかいときのことじゃと・・・ よそのいわいごとで酒をのんで,ものべがあ(物部川)のていぼうをもんてきよったときのことじゃと。 くらがりをええ気分で歩きよったら,後ろから, 「おんちゃん,おんちゃん。」 ゆうて声がすると。 ほんで,おじいさんがふりかえったら,こんまい子どもが立っちょったと。子どもは, 「おんちゃん,すもうとらんかえ。すもうとろうや。」 ゆうてゆうと。おじいさんは, ゛こりゃ,しばてんじゃ。おらをてがいにきたな。よっし,こじゃんとやってめりこまいちゃろう" とおもうて, 「おう,えいぞ。やっちゃろうぜや。」 ゆうて,その子と組みおうてごんごんすもうをとったと。 ほんで,どればあしてからかわからんけんど, 「ほいほい,おまさんどういたがぞね。こんなくでねよったらいかんぞね。」 ゆうて,ゆすられて目がさめたと。 ゛ありゃ,おらあ,どうしよったがじゃっつろう・・・" おじいさんはあっちこっち血もつれで,ばらのある草にもつれてねいっちょったがやと。 これ,ほんまの話ぜえ。 むかしは,しばてん おったがやき。 お酒にようちゅうおんちゃんが,ようだまされよったがやと。 おじいちゃんは,イラクサとすもうをさせられたがよ。 |